アカデミー賞取ったので、NHKさんが取材してたのが話題になりました。
その中で、監督は
「映画は夢と非常に密接な関係があると考えています。映画がうまく機能していれば、私たちは夢のような状態に置かれ、別の現実に生きているように感じます。たとえそれが『オッペンハイマー』のような現実に起こったことを題材にしていてもです。映画は、自分自身を見失い、観客と一緒に物語を語り、その物語の世界に没頭できる媒体だと思います。とてもパワフルな媒体だと思います。非常に多くの異なる分野を取り入れているため、これまでに発明された中で最も強力な媒体だと思います。つまり、視覚的な写真であり、物語的な言葉であり、音楽であり、サウンドでもあります。人間の生活のあらゆる側面が、映画でどのように物語を語り、どのように物語を受け取ることができるかということに関わってくるのです。
観客は映画の世界をまず感情的な方法で受け取ると思います。あまり知的に観客を引きつけようとすると、観客はその体験に没頭できなくなると思うのです。なので私は映画を通して特定のメッセージを伝えようとは思いません。映画製作者としては、何よりもまず、観客に感情的な体験、感情的な反応を生み出すことを目指しています。そして、その体験から生まれる知的な疑問が、その体験をより豊かにしてくれると考えています。」
https://www.nhk.or.jp/minplus/0121/topic067.html
と言っていました。
人間にどう受け取ってもらうか、自分が何を意図して体験を作り出すか、ある行為をした時にそれをどのように受け止めてもらいたいか、そのための作為をどのように作品に反映するか、これがとても大切なんだと思った。
インスタントで、刺激的で、それだけで楽しめるものが増えて、そうしているうちに全てがつまらなくなる。
そういう現象に対する一つの答えで、映画愛の成せる業だなあと思ったのです。
監督がこだわるフィルム撮影にしても、一見非合理的でも、ユニークさのある映像を撮影できる点ではこの上なく合理的というのも、面白いことが起こっている、と感じました。
色味や奥行きなどフィルム撮影ならではの表現をを、昔ながらの映画作りの手法丸ごと愛していればこその選択で、そこにはかつての消費者としての自分自身の体感や感動に根差した映画に対するリスペクトがある、と感じました。
刺激的で自由度が極めて高く、もはやなんでもありな技術や仕組みやルールがあった時、それを輝かせるのは、人の想いなんだなあと思ったので取り上げてみた次第です。
あるいは、過去の自分の感動に対するリスペクトはとても大切な資産になるのだなあと思いました。
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